聴力検査を受けましょう
就業中は定期健康診断で聴力検査を受けていても、定年後は受ける機会がなくなった方もおられると思います。自営業や主婦(夫)の方が対象になる国民健康保険の特定健診では、聴力検査を行っている自治体はほとんどありません。また75歳以上の後期高齢者健康診査にも、現時点では聴力検査の項目はありません。
加齢による聴力の低下は認知症の発症要因のひとつともいわれていますし、話し声が聞こえにくくなり会話でコミュニケーションがとりづらくなることで、抑うつや閉じこもりによるフレイル(虚弱状態)につながると言われています。従って、加齢による聴力の低下に対しては、補聴器を装用するという医療的な介入を行い、認知症やヒアリングフレイルの予防を図ることの重要性が指摘されています。
「難聴はフレイルの原因!―フレイルとは介護を必要とする手前の段階です―」
http://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/017/
「"Hear well, Enjoy life" – 快聴で人生を楽しく -」
http://www.jibika.or.jp/owned/hwel/
「井上順と専門医が語る「加齢性難聴」」
https://www.youtube.com/watch?v=RyRHUOZRWYM
堀江貴文氏とのコラボ企画動画「補聴器を付けることで認知症が予防できる?補聴器のミスマッチを防ぐ方法とは」
https://www.youtube.com/watch?v=ycqcDuVa-WE
https://www.youtube.com/watch?v=djtw4dvMUmU
聞こえが気になる方や、まだ十分に聞こえていると感じておられる方でも60歳代後半になったら、聞こえが悪くはなっていないか一度聴力検査を受けてみましょう。まず耳鼻咽喉科を受診し耳の診察と聴力検査を受けてみてください。聞こえに影響する病気があり、治療可能ということもあります。難聴の程度から、補聴器の必要性が診断されたら、十分な技術力を備えた認定補聴器技能者のいる補聴器専門店で、補聴器の試聴を行って(専門店であれば数週間から3か月程度貸し出しを行っています)、その間に十分な補聴器調整を繰り返し受けて、納得してから購入しましょう。
加齢による聴力の低下は徐々に進行するため、自分では気づかないうちに周囲の音があまり聞こえていない静かな世界にいたわけですから、補聴器をつけ始めた初期には聞きたい言葉以外のうるさい雑音も耳に入ってきてしまいます。初期調整後から最初の数か月の脳トレーニング(聴覚リハビリテーション)が重要で、次第にうるささが気にならなくなり、雑音の中から言葉をより分けて聞き取れるようになってきます。あきらめずに補聴器技能者や補聴器相談医のアドバイスを受けながら頑張りましょう。
補聴器使用による聞こえの改善で家族や大切な仲間との楽しい会話、習い事や地域活動への参加、音楽や演劇の鑑賞など、高齢者の方の快適な日常生活や社会参加を耳鼻咽喉科医・補聴器相談医は応援します。
聞こえのチェックリスト
以下のチェックリストで簡単に聞こえの状態をチェックすることができます。
あてはまる項目にチェック☑してみましょう。
聞こえのチェックリスト①(7項目)(日本補聴器販売店協会ホームページから引用)
□ 会話をしているときに聞き返すことがよくある。
□ 後ろから呼びかけられると気づかないことがある。
□ 聞き間違いが多い。
□ 話し声が大きいと言われる。
□ 見えないところからの車の接近に気づかない。
□ 電子レンジの「チン」という音やドアのチャイムの音が聞こえにくい。
□ 耳鳴りがある。
☑チェックの数はいくつありましたか?
0個 現在の聞こえに問題はなさそうです。
少しでも聞こえに不調がある場合には、聴力検診を受けてみましょう。
1〜2個 実生活でお困りのことがあれば耳鼻咽喉科を受診しましょう。
3〜4個 耳鼻咽喉科で相談してみましょう。
5個以上 早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
聞こえのチェックリスト②(10項目)(日本補聴器工業会ホームページから引用)
□ 会話をしている時に聞き返すことがよくある。
□ 後ろから呼びかけられると気づかないことがある。
□ 聞き間違いが多い。
□ 見えない所からの車の接近にまったく気がつかないことがある。
□ 話し声が大きいと言われる。
□ 集会や会議など数人の会話でうまく聞きとれない。
□ 電子レンジの「チン」という音やドアのチャイムの音が聞こえにくい。
□ 相手の言ったことを推測で判断することがある。
□ 騒音の多い職場や大きくうるさい音のする場所で過ごすことが多い。
□ 家族にテレビやラジオの音量が大きいと言われることがよくある。
☑チェックの数はいくつありましたか?
0〜2個 問題ないかと思われますが、定期的に耳の検査を受けましょう。
3〜4個 一度、耳鼻科の専門医に相談してはいかがでしょうか。
5個以上 できるだけ早く耳鼻科を受診することをおすすめします。